私の顔にさようならのあらすじ、ネタバレと最新刊まで読んだ感想をお伝えします!
私の顔にさようなら前半のあらすじ
……すべての事の始まりは、とあるアパートにて、誰にも知られずに行われた殺人でした。
タトゥーの施された手に刃物を握りしめ、一人の女性を惨殺した女。
フードを深くかぶり、表情はうかがえませんが、自分が殺害した女性を冷たく見下ろしながら、どこか満足そうに顔を歪めています。
それが笑みなのか、それとももっと別の感情なのか解かりませんが、これが全ての始まりとなったのです。
それからしばらくして……とある会場にて同窓会が行われます。
「錦が丘中学校15期生同窓会」
卒業生である美加と美菜樹は、久しぶりの互いの再会に喜んでいました。
子育てに忙しいと美加は母親になり、美菜樹も専業主婦と、それなりの人生を歩んでいました。
そんな中で、もう一人の親友である舞美が訪れます。
彼女は東京へと上京し、すっかりとあか抜けた女性へとなっていました。
結婚し家庭に入った美加と美菜樹を見て、何も変わらないね、と、嫌味のように聞こえる言葉でマウントを取る舞美。
何はともあれ久しぶりの三人の再会は、過去の想い出話へと盛り上がっていきます。
そしてある女生徒・清山美冬の話へと盛り上がっていきます。
美冬はクラスでも一番の美人で男子から人気を得ていた女性でした。
でも自身の美しさをひけらかし、容姿が醜い相手を小馬鹿にしてはイジメの対象にし、クラスの女王と、カーストのトップにいました。
しかしある日、彼女は事故にあってしまいます。
美しい顔が崩れてしまう程の事故にあい、バケモノになったと笑い転げ、美冬のその崩れた顔を写真に取り、周囲に拡散してしまいます。
美加に美菜樹と舞美は、醜くなった美冬を徹底にイジメていき、そしてついには彼女を転校へと追いやっていきます。
武勇伝の様に語る三人は楽しそうに語らっていました。
そして話題は舞美と同じ様に上京した那美子の話となりますが、彼女は死んだと、舞美は静かに告げます。
驚く美加に美菜樹。
彼女が死んだと知り、沈痛な表情を浮かべてしまう二人。
しかし舞美は静かな表情のままでした。
私の顔にさようなら後半の見どころ
舞美は同窓会の中で、かつて思いを寄せていた男子・翔を見つけます。
久しぶりに声をかけようとするも、翔の左手薬指に指輪がはめ込まれ、聴けば彼は去年に結婚したと知ります。
舞美はショックを受けてしまいます。
そんな同窓会も終わりを迎え、2次会へと向かいますが、翔は奥さんが心配だと参加を拒否します。
舞美は翔にせめてお茶でも飲まないかと誘いますが、妻が心配だと言われ断られてしまいます。
翔にかつて想いを寄せていた舞美は、彼への想いを募らせてしまいます。
傷心を追いながらも舞美は、今夜は遅いと美加の自宅で泊めてもらう事になります。
美加の自宅へと戻ると、彼女の子供は素っ気なく言葉を返し、部屋に引きこもってしまいます。
何かあったのかと舞美は、美加に訊ねると、子どもが学校でイジメを受けている事を知ります。
夫は単身赴任中で、担任に相談をしようかと悩みます。
しかし舞美の返答は、イジメをする子を殺してやろうと告げます。
余りの発言に戸惑いを隠せない美加。
でも舞美は続けます。
最近の子どものイジメは酷く、生半可な事をすれば、子どもをさらにイジメていき、自殺に追い込まれてしまうかもしれないと告げていきます。
舞美の言葉に不安を覚えた美加は、自分の大切な子どもが殺されてたまるかと、相手を殺害する事を決意します。
覚悟を決めた美加に計画を告げる舞美は、相手を山奥へと誘い出し、そこで始末すれば良いと一連の計画を話します。
成功すると信じて疑わない美加は、舞美の言葉通りに従ってしまいます。
そして計画は実行され、人気のない山へと案内された美加は、切り立った崖へと案内されます。
崖の先にロープが吊るされ、相手はこの下にいると告げる舞美。
これで落とせば良いとナイフを手渡し、ロープを切る様に進めてきます。
ナイフを手渡され、美加は崖へと向かいますが、そこにはいじめっ子が吊るされてはおらず、ロープだけが吊るされているだけ。
そして美加は舞美にそのまま突き通されてしまいます。
唐突の舞美の行為に驚愕し、崖へと落とされてしまう美加。
とっさに崖の端に手を伸ばし、取り掴むも、舞美によってその手を解かれてしまいます。
なんでこんな事をと、舞美の行動に困惑を隠せない美加は、落ちる寸前に彼女の腕を掴もうとしますが、コートの裾を掴んだだけで、重さであっさりと引きちぎれてしまいます。
落下していく最中、舞美の腕にタトゥーが刻まれているのを知ります。
そのタトゥーに見覚えがあり、それは舞美のモノではないと知ります。
彼女はと、何かを察した美加でしたが、彼女は深い崖の下へと落ちていきます。
そんな彼女の最後を見届けた舞美は、あんなイジメをしていた女がと、見下す様に崖を見下ろしていました。
復讐する相手はまだいると、再び動き出す舞美。
舞美の顔を持つ彼女は、いったい何者なのでしょうか?
私の顔にさようなら感想
自分の美しさに自信を持ち、相手を常に見下していた自分勝手なヒロインが、美貌を失い、周囲から虐められ、復讐へと堕ちてしまうサイコサスペンスとなる今作。
物語の開始直後から殺害現場と、実にハードな展開で進んでいきます。
舞美となった謎のヒロインを中心に描かれていく物語は、殺す事に躊躇しない無慈悲な殺人鬼と化していくダークホラーな雰囲気を携えながら、身勝手な復讐へと駆り立てられていく恐怖を随所に演出しています。
かつては自分は美しいからと、そうでない相手を見下し、イジメを平然と行い、苦しむ相手を笑い飛ばしていた悪人でした。
しかし不慮の事故で自慢の美貌を失い、自分がイジメられる立場になれば、手前勝手な理屈で復讐を決意し、反省や悔恨などをする慈悲の無い、根っからの悪人と、まるで救いがありません。
これで少しでも反省し、自分の行いを顧みて善人になる人生もある筈なのに、このヒロインは徹底的に悪人です。
言うなればあまりにも身勝手すぎる自分本位の悪意を平然と振りまき、平穏に暮らしていた筈の人間の人生を狂わし、破滅へと追いやっていく事に、まるで躊躇もなく、また良心の呵責も無いと、実に醜悪なる悪党として振舞っていきます。
悪女と言うには生易しく、もはや鬼女と言うべき行いを平然としてしまうヒロイン。
舞美の皮を被ったヒロインが何者なのかと、ここで語る事は出来ませんが、かつては美しい容貌を持っていたと、そんな素振りを見せますが、本編が進むにつれて明かされていく真実に、その真意は隠れているのでしょうか?
イジメをしていたが故に、イジメられる立場に追いやられてしまい、それを身勝手に復讐すると、イジメに加担した相手の人生を壊す事に、まるで躊躇の無い悪意の行動力を見せていくヒロイン。
爽快感はあるも、怖気と悍ましさが混同しており、復讐へと駆り立てられた醜き感情が、本作の怖い部分ともなっており、物語をさらに面白く演出してくれています。
美しくとも心が醜悪なるヒロインの復讐劇。
全てを奪おうとしていく物語は、どこか爽快感はあるも、虚しさが去来し、また悪人であるヒロインに感化してしまう部分はあるも、それを容認できないとの拒否感を抱く、その内容は、まさに人間の抱く美醜の感覚に作用されています。
外見は美しくとも内面は醜悪と、心の醜さが演出され、それに振り回され狂わされていく人間達の物語となっていく今作。
醜さとはと、また美しさとはと、内面と外見に問われていく物語として見ごたえがあります。
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