エンドレス離婚~もしも結婚生活をやり直せたなら~を最新刊まで読んだ感想とネタバレ、あらすじ、見どころをご紹介します!
エンドレス離婚~もしも結婚生活をやり直せたなら~あらすじ
岩井・聡(いわい・さとし)は自身の事を、しっかり者の良い父親と自認していました。
家庭を大事にし、家庭を第一に考える理想的な父親であると、疑わずに自分の事をそう信じていた彼。
同僚からも良い父親だと言われ、周囲からも理想的な父親だと思われていると、そう感じていました……
仕事場の飲み会で妻・紀子(のりこ)への愚痴を少しだけ零しながらも、今日もちゃんと自宅へと戻る聡。
家族と過ごす時間が大切だと家に帰るも、玄関には靴が散らばり、紀子は相変わらずに駄目だなと愚痴をこぼします。
あいつには俺が付いていないと、そう己惚れながら片づけ、居間へと訪れると、息子と娘の相手をしていた紀子がいました。
彼女はすぐに夕食を準備すると言いますが、飲み会で済ませてきたと言い寝間についてしまいます。
今日は忙しかったから時間が無かったと言う紀子の言葉に、時間は自分で創るモノだと教え、彼女の話を聞こうとはせず、男は大変なんだと言い眠りにつきます。
でも紀子は一生懸命でした。
彼の誕生日が近いのでごちそうの材料を買いに行き、仕込みをし、また子どもの面倒を見ていたと、頑張っていたにも拘らず、自分がまるで頑張っていないようなものの言い方。
歪み、軋む、静かな崩落が始まり出していた事に、聡は気づいてはいませんでした。
エンドレス離婚~もしも結婚生活をやり直せたなら~見どころ
さて、本編の見どころを紹介していきたいと思います。
聡さんは自分の事をしっかり者の夫と思い込んでいますが、妻の紀子さんは、そんな夫の独りよがりに苦しめられ、彼に対する不満や苛立ちを募らせていると、実に一触即発な離婚危機を迎えている状態にも関わらず、聡さんはそれに気づく様子はないと、実に鈍い男です。
誕生日が近いからと聡さんの為に誕生日パーティを準備していたにも関わらず、当日に飲み会で遅れて帰り、また翌日にやり直しとなるも、二日酔いで気分が悪いと寝込むなど、とても良い父親ではありません。
そんな独りよがりの強い聡さん!
紀子さんの献身などまるで気づかず、常に上から目線と、悪気がない行動で余計にタチが悪く、夫婦関係をゆっくりと悪化させてしまうと、知らずにやっている行為が破滅につながるとは知らず、余計にやらかしてしまう、駄目オヤジの行動力に見どころがあります。
子どもの為に遊園地に行く約束をするも、寝坊をしたにも関わらず、妻の紀子を責め立てて、子どもが可哀想だと怒鳴り声をあげてしまいます。
そして寝過ごさせた理由を聞かずに出かけようとするも、外が大雨だからと中止にしたのにと、その理由やまた疲れているだろう夫の事を気遣って行動してくれた彼女に謝らないと、実に駄目オヤジな事をしでかう聡さん。
また台所を散らかし、子どもの相談事にも妻任せと、やってはいけない事ばかりやってしまうと、これでどこか良い父親なんだとツッコんでしまうぐらいに、駄目オヤジな行動を行ってしまい、最終的に離婚を迎えてしまいます。
どんなに献身的な奥さんも、これではついてはいけません。
そんな自滅してしまう聡さんを助けてくれたのは、弁護士の本性寺(ほんしょうじ)さん!
何やら胡散臭そうな弁護士が、やり直しをしたいかと持ち掛け、離婚でパニックを起こしていた聡さんは、当然だと言い切り、そして時間が巻き戻り、離婚する1か月前へと戻ります。
ここでようやくにして、妻の事を気遣うようになるのですが、そう簡単に上手くはいかず、二度目のリトライでも、離婚されてしまう聡さん。
妻の事を気遣い、苦労を共感していたのにと、憤るも、紀子さんは聡さんよりも憤っており、いつも自分を下に見て、上から目線と馬鹿にしていると不満をぶつけられてしまう結果になります。
自分がどれだけに妻の事を考えていなかったのかと、リトライをする度に、彼女の苦労を知り、またどれだけに彼女を困らせていたのかと思い知る聡さん。
彼がやり直しの人生の中で、自分を見詰め直していく姿も見どころなのですが、運命が変わるたびに、また多くの選択肢が生まれ、結果に離婚を突き付けられてしまう結末と、次第に心を病んでいくような展開も、本作の見どころとなっています。
やり直せても、それは幸せな結末を迎えられることではく、さらに苦しんでいく事になると、彼の苦難の連続は終わらず、少しの選択の間違いで全てがご破算となってしまう、そんな彼の行きつく結末はと、気になる所も見どころとなります。
エンドレス離婚~もしも結婚生活をやり直せたなら~を読んだ感想
リアルな夫婦関係を見事に演出し、必ずありそうな夫婦間の亀裂を描いた内容がダークな装いで綴られていく事となる「エンドレス離婚~もしも結婚生活をやり直せたなら~」は、実に身を掴まされる思いのある作品です。
結婚して家族を持ち家庭を築いたと、安心するのも束の間の夢とは言いますが、本編に登場する主人公の聡さんは、実に駄目な夫としてやらかしてしまいます。
奥さんである紀子さんの事を愛しているのは解かるのですが、あまりにも雑に扱い過ぎています。
せっかくに誕生日の御馳走を作ってくれているにも関わらず、マイペースに過ごしては、知らずに奥さんを傷つけてしまうと、まさにダメ夫の見本とも言える聡さん。
いつも献身的に頑張ってくれている奥さんの紀子さんを軽んじているなど、悪意は無いのですが、その無自覚な行動が奥さんの心を蝕んでいき、愛情を歪ませていき、夫婦の信頼を失わせてしまう事に気づいていないなど、タチが悪いです。
確かに彼は悪人ではなく、家族に対する愛情は本物だと、そこだけは尊敬できる部分なのですが、あまりにも自己完結の多い人間性ゆえに、結果として痛い目に合ってしまうと、彼のあまりの不遇さに途中で同情してしまいます。
何度も駄目な結末を迎え、何度もリトライをする事になってしまう彼。
普通ならばやり直せない人生をやり直すと、怪しい弁護士からリトライのチャンスを手に入れたにも関わらず、同じ過ちを繰り返してしまい、同じリトライを繰り返していく彼は、家族を失いたくないと、ただ必死に頑張っているのですが、想う通りには行きません。
二度目の失敗をしない様にと、最善策で注意をするも、招いてはいけない失敗へと追い込まれていくと、リトライをする事で増えてしまう選択肢と、彼は離婚の危機から逃れる事が出来ず、新しい問題に直面するたびに困惑していく事となると、彼の不遇なリトライが本編を盛り上げていく要因となっています。
やり直しをしても、リトライをしても、それは一時的なモノでしかなく、これからも続くであろう幾つもの選択肢を間違いなく過ごすことは不可能であり、それでも家族を失いたくないと必死に足掻く聡さんの姿は、家族を失いたくない、その思いだけに動かされていきます。
やり直しとリトライの人生となっていく彼の先に、どんな結末があるのかと、そして紀子さんがどんな気持ちで一人で家庭を守っていたのかと、今まで知ろうとしなかった家族の辛さを知っていく彼は、本当に理想的な父親になる事が出来るのかと、聡さんの成長の物語の結末に注目です。
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