妻の知らない婚前契約を最新刊まで読んでみました!
見どころ、感想を書いてみましたのでご覧ください。
妻の知らない婚前契約あらすじ
優しい夫・碧人と結ばれ結婚4年目を迎えた主婦の珠。
しかし子どもを産んでから自分は太り気味になってしまい、容姿もすごく崩れ、自分で直視するのも躊躇う程に醜くなってしまったと感じてしまう憂鬱な日々。
それに比べて夫は相も変わらずに、あの頃のイケメンのまま。
そんな自分を未だに愛してくれていると信じていた筈なのに、その想いがある日突然に揺らぎ始めてしまう。
周囲からは顔面格差婚と陰口を囁かれ、碧人とは不釣り合いと言われ、それでも彼が愛してくれていると信じていた想いは、全て噓だったの?
二人目の子どもが欲しいと夫にせがむも、彼は自分を抱いてくれない。
2年間もセックスレス。
妻として愛されていないのかもしれないと、求められない事に、本当に自分は夫に愛されているのかと不安に駆られていた珠は、日に日に夫に不信感を抱いてしまう。
そしてそれは決定的なモノとなってしまう。
5年ぶりに夫と再会した元カノである寧々の帰国。
自分とは違い、自身に満ち美しさに溢れていた彼女が戻ってきた事で、珠の平穏な生活は徐々に崩れ始めてしまう。
夫を愛して、自分も愛されていた筈なのにと、突如として壊れてしまう夫婦生活。
美しくなくなった妻は捨てられてしまうのか?
妻の知らない婚前契約見どころ
愛していた夫がどこかよそよそしいと、不安を感じてしまう妻の直感が嫌な方向へと当たってしまうと、そんな考えたくもない夫の愛情の薄れが、徐々に現実のものとなってしまう。
そんなホラーよりも恐ろしく、そして辛いと、夫婦関係の破綻がおぞましく描かれた「妻の知らない婚前契約」は、愛して信じていた夫に裏切られてしまうと、そんな妻の疑心と悲哀をテーマにした物語です。
そんなテーマを見どころにした今作は、夫の碧人が自分を裏切っているのではと、ふとした不信感からそれを払拭できない珠が苦しんでしまう部分にあります。
夫の碧人はイケメンで優しくエリートと、将来も安定し、そんな夫に愛されていると幸せな妻の珠。
でも彼女は、そんなイケメンの夫と比べて妻にも関わらず、自分は醜くなってしまったと、綺麗な容姿をしていない、崩れた顔をしていると、自分に自信を持つ事の出来ない女性でした。
結婚後に子どもを産んでからはどんどん太ってしまい、醜くなったと落ち込み、体型もずんぐりとむっくりとなってしまった彼女。
とても彼と釣り合わないと、自嘲気味な性格になってしまっています。
それなのに夫は結婚前とまるで変わらずのイケメンのまま。
同じ職場で働いて時のままで、何もかわらないイケメンな彼。
確かにそれは嬉しくは思うも、夫と自分の存在を体型格差と囁かれ周囲から不釣り合いと囁かれているなど、彼女を苦しめる言葉は後を絶たず、それが徐々に珠の心中を疲弊させていました。
しかしそれでも夫の事を愛していると信じ、彼の為にと明るく生きていた珠。
しかし最近の夫は自分を求めてくれていないと、セックスレスにも悩みます。
夫は今の自分の事を受け入れてくれていますが、その言葉は本心から語られている言葉なのかと考えてしまいます。
この2年の間で夫に求められる事はまるでなく、夫婦として満たされない想いが募っていた最中、それは起きてしまいます。
夫の元カノが海外から帰国した事。
それが珠の生活を徐々に狂わせてしまうと、彼女の生活が、日々が、そして夫への信頼がと、瓦解していく光景が見どころとなっています。
夫婦関係の破綻ともなるべき、夫が求めてくれていないと、依存されない事への苦しみと、妻の存在を削り取られていく、そんな焦燥感。
夫を信じていても、それは本心なのかと疑心を抱き、信じてあげる事の出来ない想いがさらに募り、そして元カノの存在の寧々が、珠をゆっくりと苦しめていきます。
一人だけが歳を取り、自分だけが周囲に置いていかれていると、妻の信じていた世界が崩れていく様が、この作品の見どころでもありますが、寧々の嫉妬なども見どころともなります。
互いの幸せを比べてしまう劣等感。
この部分が本作の最大の見どころかもしれません。
妻の知らない婚前契約感想
この物語のヒロインとなる珠は28歳で、夫の碧人は32歳と、歳の差のあるカップルでもあります。
2歳になる息子もおり、はたから見たら良き夫婦なのですが、碧人がイケメンであるがゆえに、珠は苦労してしまうと、周りからやっかみの声を投げられ、不釣り合いだと言われてしまう始末。
しかし他人にどう思われようとも、あまり気にしないようにしていた珠は、例え彼と自分が不釣り合いであったとしても、大事なのは互いを想い合う夫婦の絆だと気持ちではそう思っていました。
珠にとって夫は優しくてイケメンであり、自分を愛してくれていると信じていたのです。
しかしそんな想いは簡単に壊れてしまいます。
碧人の元カノの寧々との再会。
元カノの寧々はとても優秀な女性であり、かつては碧人と珠と一緒の会社で働いていた仲でした。
寧々と碧人は当時は付き合っており、周囲からはお似合いの美男美女カップルと羨まれていたのです。
しかしある事が切っ掛けで別れてしまい、距離を置いていた中で再開した寧々。
そんな彼女の存在は珠を苦しめてしまう存在となってしまいます。
自分と違い綺麗にしている彼女。
珠は家庭で専業主婦をし、寧々は子育てを頑張っている珠を認めてはくれていますが、その心中は実に複雑そうです。
この作品を見て感じたのは、働く女性と家庭で生きる女性の差であり、かつては同じ職場で働き、自分とは違う世界で生きていた寧々に憧れを抱き、そんな彼女に珠は認めてもらえたことに安堵するも、劣等感に苛まれてしまいます。
寧々は相も変わらずに美しさを保ち、珠は自分が醜くなったと感じてしまうと、その落差が彼女を苦しめてしまいます。
まして碧人とは2年間もセックスレス。
寧々とは違うと、やはり劣等感を持ってしまうと、その格差に思い悩むのですが、寧々もまた同じ気持ちだったと、彼女もまた珠に劣等感を抱いているのです。
彼の妻になれたと、幸せな家庭を築いている事に劣等感を抱いていた寧々。
それぞれに自分の人生はどうなのかと、相手が幸せそうにしていると、今の自分の幸せを見ずに、他人の幸せと自分の満たされない部分を計ってしまうと、人間の欲深さがリアルに描かれてもいます。
幸せには高見などは無く、底がない求め続けるモノとはよく言ったもので、互いの幸せに劣等感を抱き、幸せの本質を見失ってしまうと、それがこの物語の根幹とも言えます。
幸せであると一瞬は感じられるも、すぐに他人と比べてしまう。
そんなどうしようもない人間の性の中で、自分なりの幸せを見つけていけるのかと、ささやかな希望を見詰め守りたいと思えるような作品でもあります。
ここで無料試し読みできたから読んでみてください。
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