悪し妻かたり最新刊まで読んだ感想とネタバレです。

悪し妻かたりあらすじ

時は戦国時代。

栄枯必衰の理が世を紡ぎ、群雄割拠に男達が覇を競う乱世の時代にて、奇妙な噂を持つ一族がいました。

そのお家の娘が嫁いだ先で生を受けた子は、双方の一族に繁栄の隆盛を約束され、蛇神の加護を受けると、まことしやかに信じられていました。

その一族の名前は荒廸家。

そのお家と婚姻を果たす事が出来れば一族の繁栄が約束されると、荒廸の血筋を求め、婚姻を求める国長達が大勢にいましたが、その一族の中でも悪妻と悪名が他国に広がってしまった一人の姫がいました。

先の戦で夫を敵国の若き武人に討たれ、国はそのままに攻め滅ぼされてしまったと、蛇神の加護を受けず、呪われた蛇神の女と噂をされた姫君・水松女。

しかし彼女は夫の仇である筈の武人・加左吉次郎宗清の妻として娶られる事となってしまいます。

様々な噂が立ち込め、周囲からは血も涙もない悪妻と呼ばれた彼女。

そんないわくつきの姫君を自身の妻としてむかえた吉次郎は、彼女を噂する周囲の言葉などを信じす、聡明で民の事を第一に考えられる彼女に惹かれていたのです。

信じる事が己の命をすり減らしてしまうと、身内にすら疑心が蔓延る時代の中にて、奇妙な縁で結ばれた心から信じあう夫婦。

はたして二人は、生きてこの乱世の時代を生き抜く事が出来るのでしょうか?

無料試し読みはこちら

悪し妻かたり見どころ

本作のメインヒロインとなる荒迪水松女こと「あらみち・みるめ」は、戦国時代の姫君として不運な人生を送る事となっていきます。

女性が政略の道具として平然と扱われ、己の想う人と結ばれないと、お家の為に命を捧げなければいけないと、そんな不遇な人生を送る彼女は、物語の最初から不幸な人生を歩んでいます。

戦で嫁いだ夫である屋鉄長治「やがね・ながはる」が討ち死にし、命からがらに実家へと落ち延びるも、水松女は嫁ぎ先の国を滅ぼした男と再婚をさせられてしまいます。

そのお家は誉れの高い加佐家であり、そのお家の次男であり、また彼女の夫を殺した張本人である加左吉次郎宗清(かさ・きちじろうむねきよ)と、自分の夫を殺した仇の妻となってしまうと、彼女の不幸で物語は始まりを迎えていきます。

そして水松女は、周囲からは非常に悪い噂を流されてしまっていると、実に不幸かつ不遇な日々を送ってもいました。

まるで傾国の女みたく扱われ、悪女として周囲から悪い噂のみを流され、繁栄をもたらす家柄に生まれるも、その加護を持たないと、まるで蛇神の様な恐ろしい女と噂されています。

しかしそれは彼女をよく思わない周囲の無慈悲な言いがかりであり、水松女は聡明な慈悲深い女性だったのです。

彼女の悪い噂の原因は、彼女の事を陥れようとした悪意ある相手の策略であり、彼女はそれをあえて受け止め、ただひたすらに耐えていたのです。

また吉次郎が国を攻め滅ぼした際も、自分の身の安全よりも、領民の安全を優先し、城を明け渡し、私財を全て差し出し、無益な被害をだすまいと奔走していたのです。

でも戦国の時代でそのような事をすれば、裏切り者として扱われてしまうのは必定であり、彼女はそれをあえて受け、汚名を着せられたまま過ごしていたのです。

本作の見どころとなるのは、そんな水松女の気概にあります。

戦の最中においても、自身を取り乱す事無くに毅然としながら、妻としての役目を果たすと、戦国武将の妻としての揺るがない信念や、また武人の妻としての気概を持ち、自身を甘やかさない芯の強さを持つ女性として本編で活躍します。

そんな彼女の事を守ろうとする夫・吉次郎は、そんな彼女に惹かれ、戦国の時代の中で彼女と共に添い遂げようと生きていくのですが、波乱の時代の中で幾度なくと窮地へと立たされてしまうも、そんな夫を守ろうとする水松女。

自身の信念を曲げず、例え悪評が付こうとも、彼女の人柄に信頼を得て、夫の窮地を救うと、大河ドラマの純愛モノとして見どころのある作品です。

無料試し読みはこちら

悪し妻かたり感想

「悪し妻かたり」は大海とむ先生の作品で、戦国時代を舞台にした恋愛作品として物語は綴られていきます。

メインヒロインとなる水松女は、戦国の時代を生きる女性としては、あまりにも聡明過ぎる女性として登場していきます。

その聡明さ故に周囲から疎まれてしまうと、女性の立場が弱く、世間体にも全くに保証されていない、乱世の時代において、自分の信念を曲げないと、彼女の気高い強さが物語を紡いでく内容となっています。

戦国で恋愛モノと難しいジャンルではありますが、物語全体は透明感のある内容で進んでいき、互いの心根を映しながらに紡がれていく水松女と吉次郎の物語は、互いに信じると、そして知っていくと、理解する夫婦愛が見どころともなります。

恋愛モノとしては異色な部分もあるも、戦国の中で愛を互いに育み、信じる愛情をテーマにした内容は、裏表のない純愛の優しさに満ちた作品とも言えます。

されど水松女と吉次郎の関係は前途多難であり、様々な苦難に見舞われる事となってしまいます。

蛇神の加護を持っているも、それは夫婦愛が認められなければ加護を得る事が出来ず、もし夫婦として不適格となれば、厄災に見舞われてしまうと、ある意味にして呪われた関係でもあったのです。

そんな水松女の事を愛そうとする吉次郎の想いは純粋なモノで、戦国時代の武将とは思えない程に、彼は純粋に彼女の事を思うのですが、水松女は前夫のトラウマを抱えており、心を開く事は容易ではなさそうです。

また乱世の時代ともあり、治世が落ち着かない激動の中で、国の思惑で振り回されてしまう二人と、容易に夫婦としての愛情を深める暇もなく、二人には困難が待ち受けています。

一族と、お家の為と、様々な悪意と思惑が交差していき、混迷の時代に振り回されてしまう水松女と吉次郎。

水松女を陥れようとする悪意もあれば、吉次郎の命を狙う野心と、波乱の夫婦関係を築いていく二人と、戦国時代の夫婦の因縁にも晒されていきます。

しかしそんな不遇な環境の中でも、互いを信じる事を揺るがさずに持ち続け、困難を乗り越え、絆を深めていく内容は、純愛とも言える演出が見どころとなります。

心に裏表のない水松女の純粋なまでの想いや、戦国の姫君として、また戦へと向かう夫の妻としての気概を、物語の中で幾度なくに発揮し、吉次郎の事を想い彼を支えようとする姿は、凛々しく見えていきます。

戦国の時代に純愛を貫き、蛇神の祝福を受ける事の出来る良妻となる事が出来るのかと、物語を追いかけていきたくなる作品です。

ここで無料試し読みできたから読んでみてください♪

無料試し読みはこちら

「悪し妻かたり」と検索!