整形シンデレラ最新刊までのあらすじ、見どころ、感想を書いてみました!

整形シンデレラあらすじ

橘凛は、この世で最も醜い人間だと常に自分を卑下していました……

鏡でいつも見る度に自分の顔は、なんて醜いのだろうと感じる事しかできず、何でこんな顔に産まれてしまったのかと、いつしか心を病むまでに思いつめる様になっていました。

凛は自分の顔が嫌いでした。

醜い形をした丸団子の鼻に、分厚いだけの色気の無い唇に、目元も見開いたかのような形をしており、お世辞で美しいとは思えない程に、自分の顔は醜いと思い知らされてしまいます。

そのせいで人と打ち解ける事が出来ず、常に人の目を気にして生きてしまい、いつしか会社でも、ぞんざいな扱いを受けてしまう立場に追いやられてしまい、孤立した存在として扱われていました。

なんで自分だけがと、彼女は同じ名前を持つ、貝塚凛に嫉妬を覚えていました。

社内で最も美人として扱われ、友達にも恵まれ、素敵な恋人にも恵まれ、自分には無い輝かしいまでの幸せを手にしている事に、凛は耐えられないまでに嫉妬を沸かせていたのです。

ただ唯一の心のよりどころは、人付き合いが出来ないが故に溜まってしまう貯金のみ。

お金だけが私を幸せにしてくれるのだと、溜まる貯金残高に心を躍らせていた陰鬱の日々の中で、突如として唐突な幸運が舞い込んでしまいます。

それは何気に購入した宝くじが、なんと1000万円以上の高額当選だったのです。

思わぬ形で大金を手にしてしまった凛。

でもこれだけあればと、ある欲望に感情が蠢き出してしまいます。

醜い自分と決別が出来ると、決意を固める凛。

果たしてこの決断は、彼女にどんな結末をあたえてくれるのでしょうか?

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整形シンデレラ見どころ

醜い容姿を持って産まれてしまったが故に、周囲から疎まれてきた凛。

会社では醜いと馬鹿にされてしまい、あからさまな差別を受け、いつしか心を病み、理性が歪んでしまい、自分も美しくなろうと泥沼へとハマり込んでしまう、そんな恵まれぬ不遇なヒロインの歪んだ願望によって物語は粛々と進んでいきます。

美しさと醜さを題材にした本作の内容では、醜いからこそに不幸だったのだと、だからこそに幸せになる為に誰もがうらやむ美人へとなると、抑圧されていた美への執着を暴走させてしまいます。

誰もが整形をしたのだと解るほどに、元の顔の形すらない程に顔を変えてしまった凛ですが、彼女はそんな事などかまわずに、さらなる美しさを求めて整形を繰り返していきます。

この物語で見どころとなるのは、執念を燃やすかのように美へと執着してしまう、美への葛藤と言うべき感情にあります。

顔を幾ら綺麗にしても、内面だけは昔のままであるが故に、彼女は人と対面する事が出来ず、オシャレな服を買う願望を叶える事が出来ずにいました。

そして美しくなっても幸せから何故か、遠くかけ離れてしまう事となると、彼女はせっかくに綺麗になったのにと、頭打ちをする事になってしまいます。

そして整形をする中で、常に綺麗になりたいとする理想を追い求めていく中で、彼女はもう一人の凛である貝塚に対しての劣等感を思い知らされてしまいます。

自分が追い求めている美の姿は、貝塚の姿であり、例え外見で美しくなっても、内面は変わらない凛のままであるが故にと、彼女は絶望と失望を抱えていく事となります。

そして何よりも貝塚に気遣われてしまうと、凛の自尊心を傷つけてしまう軋轢などが生じていき、凛の内面にある貝塚への嫉妬はさらに根深いモノへとなっていくと、凛の心をさらに蝕まれてしまう事となります。

貝塚のようになりたいと願う気持ちがあるも、それを容易に認める事が出来ず、内面の中にある貝塚を越えたいとする凛の独善的な想いゆえに、彼女よりもと、意固地になって美を追い求めていく姿は、物悲し気な雰囲気に包まれてきます。

凛は自分が醜いからこそ、今まで不幸なのだと信じ、そして美を金で手に入れるも、それで幸せになる事が出来ず、足掻くように美を追い求めるも、何故か幸せになれないと、頭打ちを繰り返し、凛は悩んでいく事となります。

悪徳なヒロインではなく、葛藤と渇望の中で迷い苦しむ凛は美の本当の意味を知る事が出来るのかと、そんな彼女の顛末を追いかけたい内容が、最大の見どころとなります。

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整形シンデレラ感想

女性ならば誰もが願う美しさと、美醜の差別ゆえに望まぬ形で不幸な境遇へと追い込まれてしまい、そんな人生を変えるべくに整形へと手を出してしまうヒロイン。

作り物でもより美しくなりたいと願う、そんな女性達の物語となる「整形シンデレラ」は、美へと執着し、美に悩む事となる物語として描かれています。

今作の中心的なヒロインとなる凛は、美しくない容姿をしており、その姿ゆえに今までに不幸な目にあっていたと、外見で差別を受けていたヒロインとして登場していきます。

性格は良さそうなのですが、今までに不幸な目にあっていたせいか、自分の我を通す事が出来なくなってしまい、また同じ凛と言う名前を持つ貝塚の存在によって、自分とは違う存在なのだという劣等感を与えられるなど、あまりにも不幸な女性として扱われます。

個性的な顔と、前向きな気持ちで自分の顔を受け入れる事の出来ない凛。

自分は醜いのだと受け止めて入るも、この顔のせいでと、内面の中に渦巻く美への渇望はおぞましく抱えていると、実に闇の深い人物でもあります。

会社でも醜いからと露骨な差別を受けてしまい、真面目に努力をしているにも関わらずに、容姿で評価されてしまい、いつしか会社の落ちこぼれとして扱われてしまうと、凛の不幸は容易に晴れる事のない現状と、彼女のあまりの不遇さが胸を掴みます。

そんな彼女に唐突の転機として訪れてしまった高額な宝くじの賞金と、顔を整形する事の出来る程の資金を手にし、ようやくに美貌を手に入れる事に成功するのですが、凛が幸福になる事は無く、余計に思い悩んでしまう事となっていきます。

物語の全体を通して見れるのは、美しくなっても、作りものの顔を認めてはくれない相手もいれば、それを受け止めてくれる人もいると、美は普遍的なモノとして扱われており、そんなモノに振り回されてしまう凛の不憫さにあります。

貝塚と、自分が理想とする美しさを持つ彼女に嫉妬をするも、あんな風になりたいと願い、知らずの内に彼女の事を真似てしまう凛。

それ故に思い悩んでいき、また美を求める事が、どんな事を引き寄せてしまうのかと、手痛い目にあいながらも、学び、美を知っていく凛の姿は、整形ではない心の美しさを知る事が出来るのかと、そんな部分に注目がいきます。

破滅自滅系のヒロインではなく、あくまでも美を知ろうとする前向きな姿勢を持ち、また自分と同じように顔で悩む人に何かをしたいと願う気持ちなど、例え美しくなくとも、心を清らかに持とうとする、そんな凛の直向きさに注目したい作品です。

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