繭の宴のあらすじ、見どころ、感想をご紹介します。

繭の宴あらすじ

昭和43年……兵庫県のとある村にて、その子は社会とは隔絶された日々を送っていました。

ユリと呼ばれていた彼女は、祖父の命令によっていつも両手を縛られていました。

祖父いわくユリは「蚕」であり、食事をする時繭の宴も両手を使う事を許されてはいませんでした。

差し出されたる握り飯を獣の様に這いつくばり、口のみで食べる事を強要されていた彼女。

でも祖父は彼女を虐待するわけでもなく、偏執的な想いでユリを大切に育てていたのです。

彼女は神様なのだと言い、外の世界の毒を与えない様にと屋敷を囲うように竹の柵が張り巡らされ、他者との関りを完全に断ち切り、ユリをひっそりと育てていた祖父。

祖父には祖母がおり、彼女は彼に逆らう事が出来ず、ユリの事を不憫に思いながらも、彼女の世話をしてくれます。

父親と母親の事は知らず、偏った知識しかなく、隔絶された世界で生きていたユリは、それが当たり前なのだと受け止め、何の疑問も抱かないままに同じ日々を過ごしていました。

唯一にユリが屋敷から出る事が許されるのは庭のみ。

でも庭に出る時は覆面を被り、両手を縛ったまま遊ぶ事しか許されません。

そんな時に、ユリは偶然に一人の少年と出逢ってしまいます。

名前は玄太と言い、彼との出逢いがユリの小さな囚われた世界を壊し始めていきます。

果たしてそれが幸運なのか?

それとも不幸なのか?

結末は未だに解りません……

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繭の宴見どころ

ダークネスなイメージで描かれる、日本の闇の因習に捕らわれた美少女の物語「繭の宴」は、漫画家・カジカ先生の作品です。

本作は心身ともに病んでしまった祖父によって神聖な儀式なのだと「蚕」として扱われながらに歪な愛情で育てられたヒロインのユリが、自分と同じ年の少年である玄太と出逢う事で隔絶された世界を変えていく物語として紡がれていきます。

初めての異性との出逢いに胸の高鳴りを知り、祖父の目を盗んでは玄太と出逢い、外の世界を知っていくのですが、逆らう事の出来ない祖父によってさらに苦しめられてしまうユリと、彼女の波乱の人生とも言える雰囲気も注目な内容です。

本作の見どころを挙げていくのならば、まずはユリと玄太の育んでいく関係にあります。

最初は玄太を見て、色々と不思議がる彼女。

今まで祖父によって外の世界の事を知らされずに育ち、また男や女の違いなども知らず、まったくの無知であった彼女が、初めて異性を知り、本能的に感じてしまう感覚に感性を得ていく感受性の成長が見どころとなります。

ユリを神様と言い、世間の事などをまるで知らせずに、隔離された世界で生きていたが故に玄太から得ていく知識や感情が、ユリの心を大きく動かしていき、最初は喧嘩をしてしまうも、彼の話す言葉に興奮を覚え、次第に幼心に惹かれていくと、そんな純真な幼子の関わり合いが注目です。

そんな穏やかな雰囲気もあるのですが、本編でもっともに玄太とユリの間を壊そうとするのが、元凶でもある祖父の存在です。

祖父は何かの影響で心を病んでしまい、偏執的にユリを世間から隔絶させながら守ってはいるのですが、その守り方があまりにも異常であり、また何かのお勤めをしていると、謎の多い人物でもあります。

玄太の存在を知った時は、殺さんばかりの勢いで襲い掛かるなど、異様で異質な存在としてユリを苦しめていき、またそんな危険人物でありながらも、村では誰も逆らえないと、何やら謎の多い人物と、祖父の存在も注目の一つです。

そして物語の根幹となるのが、ユリを取り巻く屋敷の因習です。

ユリを「蚕」と言い、神様として育てている祖父。手を縛り、また外に出る時は覆面をさせて庭でしか遊ばせないと、何やら変な宗教にハマっているのかと感じてしまう程に、ユリの事に固執している様子があります。

またユリを取り巻く環境にも謎が多く、彼女の両親は一体にどうしてしまったのか? また何故にこんな生活をさせられているのかと、今後の物語で次第に明かされていくミステリアスな雰囲気も、この物語の見どころともなります。

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繭の宴感想

古い日本映画を見ている様な、実にミステリアスな雰囲気と、またホラーテイストで描かれていそうな展開と、玄太とユリの無垢な想いが希望を紡いでいくと、微かな希望が二人の運命を変えていくだろうと感じられる今作。

物語の冒頭から何やらとキナ臭い雰囲気で始まり、ユリを神様と言うも、両手を縛って蚕として扱い、彼女を隔離もとい監禁して育てていると、既に犯罪者レベルの悪事を働いている祖父。

現代ならばすぐに通報されて大炎上となる事案なのですが、時代が昭和の43年であり、まだまだに日本の闇が深い時代ゆえにと、実に重苦しい雰囲気に冒頭が包まれているも、ユリはそんな自分の境遇に疑問を持たず、これが当たり前だと生活している事から、彼女の不憫さを感じます。

そんな中で偶然に出会う事となる少年・玄太。

両手を縛られて覆面を被せられている少女を前に、動じる事なくに接する彼のメンタリティーは非常に強く、その強さがユリを助けてくれるのだと、今は少なくなりつつある、主人公の資質がある少年でもあります。

そんな二人の出逢いが世界を変えていくと、純真な想いが育まれていくのかと思いたいのですが、現実はかなり厳しく、祖父の存在が容易にさせてはくれないのだと、この物語の重さが二人の将来を不安にさせてしまいます。

そして謎として浮かび上がるのは、祖父は何故に孫娘のユリを神様として育て、また「蚕」として扱うのかと、実に今後に不安な雰囲気を漂わせてもいます。

村と様々なミステリアスな物語の中で、悲劇の舞台となってしまう場所。

しかも隔絶された世界で偏った人間に育てられてしまう少女と、かつてのホラーサスペンスの様な展開もありながらも、偶然に出会ってしまった少年が、そんな不憫な彼女を救い、凝り固まった世界を壊して救うと、少年漫画の様な展開も期待できそうな雰囲気があります。

また本作の最大の謎ともなる神様とはと、何やら後半では大きな展開が予想され、何か一悶着ありそうなフラグの匂いもキナ臭く感じてしまいます。

展開が一つ一つと気になっていき、物語はどんなふうに続いていくのかと、そして次回はどうなってしまうのかと、実に気になる展開にも注目してしまう物語の深さが楽しめる作品となっています。

個人的な感想を挙げるならば、二人の少年と少女の未来が希望のあるモノであり、二人の想いが報われて救われるのならばと、願わずにはいられない、そんな無垢なる想いがどんな結末を見せてくれるのかと、結末を追いかけたい内容となっています。

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