作られたロマンチックよりも、現実の方がずっと

泡にもなれない恋ならば 三月えみBAMBOO COMICS REIJIN COLLECTION 竹書房についてネタバレと感想を書きました。

泡にもなれない恋ならばネタバレ

大手配給会に勤める小林は転職組。

よく上司である赤木とぶつかっており、周りからも浮いていた。

ぶつかる理由は、勝気でこだわりが強からだ。

そんな理由で赤木とぶつかってしまう小林を前の会社で一緒だった石原はロマンチストと表現する。

実は今の会社は赤木から誘いを受けた石原がくすぶっていた小林を誘ったところだった。

二人とも最終面接まで残っていたのだが、石原は面接当日急に行かないと言い出す。

理由を聞いても、はっきりと理由を言わない石原にモヤモヤする小林だったが無事面接を終え再就職を決める。

小林は周りから一人で出来るのか、石原がいないと何もできないだろうと言われる。

そう、実は面接の日に石原は小林の仕事の尻ぬぐいをしていたのだった。

そのことを責めない石原に小林はどうにかしたいと考えていた。

小林は今の会社の愚痴を言うも石原はせっかく入ったんだろ、と宥め根を詰め過ぎだから趣味でも持てばいいとアドバイスをする。

小林は石原の趣味は何か知りたいと言い出す。

石原の趣味は会員制のバーへ行くこと。

そこにはヤリ部屋があり、周りにいる人は自由に覗けるようになっている。

実はその趣味を知っていた小林はお前の趣味に付き合うと言い出す。

石原は小林の手が震えているのを確認し、その覚悟買うと言い二人でヤリ部屋に行くことになるがー…。

泡にもなれない恋ならばを読んだ感想

責めない彼への自己犠牲は果たして美しいものなのか

表題作は短編なんですが、短いからこそ展開も早く感情がぎゅっと詰まった作品です。

もう少しこの二人を見ていたい、この先を追いかけたい。

そんな気持ちになる作品です。

自分のせいで大手に転職できなかったかもしれない。

そのことを責めない石原に対してモヤモヤする小林の気持ち。

しかし、それを素直に告げる事ができない性格なのが読者をキューとさせるんですよね。

そこで持ちだすのが、彼の秘密にしていた趣味。

しかも、そのことを何故か小林は知っている。

本当にどこで知ったんだろう?と思いますが、そんなことはどうでもいいんですよね。

小林がどうにかして責任を取りたい。

その形がどんなものであれ、彼はそれでいいと思っている。

そこに、切なさを感じるんです。

そうじゃない、そうじゃない……素直になれば終わるのに!

終わったら話も終わってしまうんですけれどね。

あと、上司の赤木がまたいいんですよ!

短編なのであまり話すと全部ネタバレになってしまうので、ここまでとしますね。

この「泡にもなれない恋ならば」は短編ですので、コミックスには他にも収録作があります。

不思議な力を持ち周りから神様と呼ばれる町役場に勤める赤石を中心とした「神」シリーズ。
叔父と甥の危うい関係を描いた「いい子でごめんね!」が収録されています。

ちなみに、同時収録の「神」シリーズは新作があるので早くコミックスで読みたいです。

三月先生の絵は可愛くて綺麗なんですよね。

そして画面はすっきりしていて見やすいのにエロいです。

また、BLと並行して他のジャンルも描いています。

現在ですとクリィミーマミのスピンオフを手掛けていますし、既刊に少女漫画もあります。

クリィミーマミは三月先生の絵柄ともピッタリ合っているので、違和感なくすんなりと入れる作品です。

いくつになっても恋に不器用なところを見る度に、胸がキュンとする。

素敵な作品ですので、ぜひ読んでみてくださいね。

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