事実は小説より奇なり、なんて言うけれど

ポルノグラファー 丸木戸 マキ on BLUE comics 祥伝社

ポルノグラファーネタバレ

大学生の久住晴彦はある日自転車事故を起こしてしまう。

相手は右手を骨折してしまい全治一カ月の怪我。

学生だから金銭的余裕はないが、働いてなんとかするという久住に、相手は一つ質問をする。

漢字は得意か、と。

あっけに取られる久住だが、漢字検定1級保持者なので大丈夫だと答えれば仕事を手伝ってほしいと持ちかけられた。

もし手伝ってくれるのであれば、治療費などは一切要らないという相手の言葉に久住は喜んで手伝うと答えた。

だが、その内容を聞き驚く。

そう、怪我をした相手である木島理生の職業は官能小説家だったのだ。

早速手伝いを始める久住だったが、口述筆記のため木島の口からは伏字の連続。

そして久住は隠語と小説の雰囲気を覚えるために借りた木島の本で抜いてしまう。

罪悪感を感じながら仕事を続ける久住だったが、木島の声で語られる内容に思わず勃起してしまう。

からかう木島と久住の関係は、良好なまま進んでいく。

しかし、ある日編集者である城戸がやって来るがその雰囲気になんとなくただならぬものを感じる久住。

その後3人で食事をし、久住はそのまま木島の家に泊まることになった。

気分が悪いという木島を寝かしつけようとするも久住の手を引き一緒に寝ようと誘ってくる。

そのまま同じベッドで眠る2人だったが、引き寄せられる様に久住は木島にキスをしてしまう。

すると木島が目を開き、それだけなのかと問いかけてきてー…。

ポルノグラファー感想

官能小説をテーマに妄想をフル回転させて好きな人を思い通りの設定で振り回される大学生と振り回すダメな大人に足してきた要素が「官能小説家」という設定。

教師や人妻、そして緊縛という単語が並ぶ中理生の口からは伏字連発のワードが出てきます。

それでも、木島の葛藤や城戸との関係、また久住の大学生らしい悩みや明るさなどが合わさると何故か最終的にしっかり落ち着いた内容になるんですよね。

悩みだらけで人間関係ぐちゃぐちゃなのに。
木島の独特の貞操観念に振り回されてしまう久住はもちろん、城戸も本当に厄介な相手に捕まったとしかいいようがありません。

でも、ここが木島の魅力であり、作品自体の色気がぐっと増している要因なんですよね。

いちいち仕草が色っぽいのはどうしたって、大学生からすると抗うことできないですよね。

この色気の描写に欠かせないのは、やはり丸木戸先生の絵柄です。

丸木戸先生の絵柄はねっとりとした印象を受けます。

この絵柄と話が絶妙に合っているから、魅力的なんです。

作品にはドロドロした人間関係が多いのですが、読了感はスッキリしている。

これは先生の話作りが上手いからだと思います。

この『ポルノグラファー』は実写で映像化され、しかもかなり原作に寄せていたのが凄いと思いました。

正直、内容が内容だけにここまで映像化できるかな?と思っていたのですが、綺麗にまとめた作品となっているのでお勧めです。

また、この作品は続編もあり『インディゴの気分』は編集者の城戸と木島の過去話となっています。

こちらも映像化していることから、評判が良かったことがわかります。

特殊な状況から始まる恋、独特の雰囲気が漂う『ポルノグラファー』は面白いです。
ぜひ、丸木戸先生の世界を堪能してくださいね!

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