昭和元禄落語心中7.8巻のネタバレと感想です。
まずは、ネタバレからどうぞ。
昭和元禄落語心中7〜8巻ネタバレ
小夏と与太郎の愛息子、は「信ちゃん」と呼ばれ寄せの面々から愛されて育ちます。
愛嬌の良さは与太郎にそっくりです。与太郎は子供番組に出演したりテレビでも引っ張りだこ。
寄席も大いにわかせます。小夏は寄せで鳴り物を演るようになり、彼女も好きなことを仕事にし始めました。
ある日信ちゃんが通う幼稚園で落語を演ることに。
子供番組で人気の「寿限無」をかけるつもりでしたが、与太郎の思いつきで小夏が高座に上がり小夏は改めて落語の楽しさを知ります。
売れて勢いがついてきた与太郎には八雲師匠との二人会の話が持ち掛けられます。
二人会で与太郎の一席の後、八雲師匠が高座に上がり一席かけますが、いつもと様子が違います。次第に表情に影が差し、オチと共に倒れてしまいました。
客にバレないように緞帳を降ろし、八雲は救急搬送。小夏たちが救急車に同乗、与太郎は客にバレないため残ってもう一席、師匠にみてもらいたかった「居残り」をかけました。
一命はとりとめたものの、師匠は自分の落語はもう終わり、引退するのだと言って譲りません。
与太郎は師匠が上がるはずだった高座の穴を埋めるため駆け回っていました。
そんな時に樋口から、助六の高座の貴重な映像が見られるかもしれないと旅への同行を誘われました。
行先は、師匠が助六との二人会を演った、あの旅館。
そう、助六さんとみよ吉が亡くなったあの旅館でした。
旅には長く師匠に仕えてきた松田さんも同行。
三人は貴重な二人の高座の映像を見ることが叶いました。
そして松田さんから、ふたりの死の真相を知ることになるのです。
それは師匠が小夏と与太郎に語ったふたりの最期とは異なりました。
心中を図ったみよ吉が助六を刺し、それを見た小夏がみよ吉に詰め寄り窓の外へ突き飛ばしてしまった。
助六はそれを助けようと一緒に落ちてしまったのです。
八雲師匠は小夏の為に、嘘をついていたのでした。
それを聞いた与太郎は東京に戻り、再び落語に打ち込みますが、師匠は相変わらず落ち込んだまま。
八雲師匠はもう高座に上がることはないのでしょうか。師匠を待ちわびる与太郎は、小夏はどうなってしまうのでしょうか。
昭和元禄落語心中7〜8巻を読んだ感想
八雲師匠の苦悩が全面に出ていて、読み進めるのが苦しい。
でも読んでしまう!
特に師匠が倒れてしまう与太郎との二人会。
師匠がかけたのは「反魂香」という噺で、小夏に噺のいいところでお香を焚くようにお願いする。
「落語をよくわかっているから」という理由は、師匠が見せた小夏への愛情や信頼もお香と一緒に手渡されたようで胸が熱くなった。
そこからの倒れる様子と、倒れてからの慌ただしさは読んでいて涙が止まらなくなった。
師匠を病院へ搬送する際、残って高座に上がることは与太郎しか出来ない。
そして師匠に付いていてやることは小夏にしか出来ない。与太郎と小夏がお互いに「頼んだ」と背を向け合いそれぞれの役目を果たそうと走り出す姿に、今度は小夏がちゃんと夫として与太郎を信頼出来ているのがひしひしと伝わってくる。
与太郎も師匠も、これまで小夏を思ってしていたことが、かえって彼女に警戒させてしまった過去がある事を思い出してまた泣いてしまった。
それぞれがそれぞれの信頼をここまで築いてこれたことが、こんな悲しいシーンで一番表れていることが切なくてたまらない。与太郎と小夏のことを想うと、
八雲師匠がこのまま引退してしまうのは痛々しすぎる。一読者として、また師匠の落語を聞きたい(読みたい)。
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