特別なんかじゃない、働く会社員の日常と恋愛を描いた「まだ愛が足りない」のネタバレと感想を書いてみました。
西田東(現:西田ヒガシ)CITRON COMICS Libre
まだ愛が足りないネタバレ
課長である北原は30歳をとっくに過ぎている。
実家も裕福で、自身も優秀。
このまま今の会社に身を埋める気はなく、他の企業へ移るも良し外国へ行き若い男と過ごすのも良い。
そんなことを考えながら若い男と遊び毎日を過ごしていた。
一方、部長の井上は離婚をしたばかりで一人暮らしを満喫すべく、料理や山登りを楽しもうとしていた。
そんなある日、井上の元に一通のメールが届く。
そこには北原がセクハラをしているという文面が並んでいた。
メールが気になり、北原を訪ねる井上。
しかし、妙な様子はなく杞憂に終わりそうだと思ったが、井上を見つめる北原の視線が気になった。
その時、10年ほど前、井上の下で働いていた時も同じだったとことを思い出した。
この告発メールをきっかけに、北原は井上に付きまとうようになる。
そんな中ある日、北原の部下が外国の出張中に連絡が取れなくなってしまう。
事件かもしれないと社内が大騒ぎする中、冷静な北原を不審に思う井上。
腹を立てた井上は自分に送られてきた北原の告発メールは自演だろうと付きとめ、そのことを北原に問い詰める。
そこに、部下から電話が入るも実は美人局に遭い捕まっただけだったことが判明する。
北原は自分がなんとかするから会社には黙っていてほしいと井上に伝えるも、井上は拒否。
そこで北原は会社の不満をぶちまけ、会社を辞めると言い出す。
その上、井上にキスをして写真を撮りネットにばらまくと脅す。
これが自分のやり方だというところで北原のツテで部下はなんとか誤魔化せそうな雰囲気になる。
その姿を見ていた井上は、北原に成長したな、と笑いこのことはもう会社には何も言わないと言う。
すると北原は井上にメールを送信したのは寝たいと思っているからだと告げる。
しかし、井上は女性に昔よく言われていた台詞だと笑い飛ばす。
昔と違うところは自分が歳をとったことだと言って相手にしなかったのだがー…。
まだ愛が足りない感想
どこまでも日常の中にある中年同士の恋愛模様
漫画を読もうと思った時、手に取る理由はたくさんあると思います。
・好きな作家だから
・絵が好き
・物語が好き
・人気があるから
他にももっとたくさんあると思います。
今回取り上げた西田先生は物語が素晴らしいんです。
BLにおいて、オシャレだとかなんだとかいろいろあると思うのですが、西田先生の描く世界はなんとなくありそうな感じがするんです。
その理由は、出てくる人物像にあると思います。
この「愛が足りない」の北原は実年齢よりも確かに若くは見えますが、会社員。
優秀というところも特に際立った設定ではありません。
また井上もそうです。
離婚したばかりの有能な部長。
設定も日常です。
そう、何もかも特別なことなど何一つない世界。
ただ、中年男性が恋愛している。
それだけなのに、何故こんなに魅力があるのか。
それは、やはり作者である西田先生の物語の作り方だと思います。
全てのことが上手く行っているのに、満たされていない北原。
心残りは井上と寝てない事だけ。
ただ、この気持ちだけで井上に自演の迷惑メールを送り追いかける。
また、井上も離婚して一人の時間を楽しむ予定だったはずなのに、北原によって生活が一転してしまう。
この辺りの描写も良いんです。
北原は今まで何人もの人と関係を持っていたのに、結局は恋愛をしたことがなかった。
ただの、欲望だけだった。
そのことを指摘された瞬間の北原の表情がたまらなく良いです。
離婚している井上には子供がいます。
井上と一緒にいる時に、子供と出会ってしまう北原。
その時の北原の感情を考えると何とも言えません。
西田先生の絵柄は万人受けとは言い難いです。
出てくる人物もごくごく普通の人として描かれています。
ですが、この絵柄だからこその味といいますか、何度も読みたくなる感覚。
一度知ったら抜けだせないような作品ですし、先生です。
時々、シリアスの中に急にギャグ要素を入れてくるところも良いんですよね。
また、西田先生の特徴としてはあとがきがおかしいです。
面白い云々はともかく「おかしい」です。
本当に作品とは全く関係ない内容と謎の絵柄で描かれることもあります。
でも、そこも込みで西田先生なんですよね。
西田先生の魅力がたっぷりつまった一冊です。
ぜひ、手に取って読んでいただきたいです。
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