忘れられない初恋の傷はじくじくと痛んだまま
初恋のあとさき 日高ショーコ 花音COMICS 芳文社
初恋のあとさきネタバレ
ある朝、結婚している仁科透は妻から初恋について聞かれる。
素直に年上の従姉妹だと答え、妻は納得した様子で自分の初恋の話を語る。
なぜこんな話をしてきたのだろうか、そう疑問に思う仁科だったが深くは追求しなかった。
しかし、その一方で仁科自身思うことがあった。
初恋に着いて聞かれればいつも従姉妹の話をするが、本気で愛した人の事は簡単に口にはできないのだ、と。
後日、仁科は仕事の打ち合わせでカフェに入り、驚く。
そこにいたのは仁科が本気で愛した男、美山洸平だった。
だが、美山の反応は客に対するもので、人違いかと思う仁科だったがコーヒーを飲みその味に本人だと確信する。
そして仁科の生活にも変化があった。
他に好きな人ができたと言われ妻と離婚していたのだ。
一緒にいても好かれている気がしない、そんな妻の言葉が仁科に響く。
カフェに通う仁科の目に入るのは、他の男と楽しそうにする美山の姿。
自分のことは忘れてしまったのかと仁科はショックを受けるも、自分も忘れていたのだから同じだと思い直す。
仁科は美山から仕事依頼の伝言を頼まれるが相手は海外出張中。
思わず仁科は自分なら対応出来るといい、仕事を受けることになる。
仕事のため美山の店に行き雰囲気が良いと感じた仁科だったが、そこで美山が口を開く。
その口から出てきたのは、昔話をしようという言葉だった。
そう、美山は仁科のことを覚えていて、わざと知らない振りをしていたのだったー…。
初恋のあとさき感想
若いからこその恋愛の痛みと、恐怖。
この若いからこそ、というところが重要な点だと思います。
主人公の仁科は高校生の頃、若いからこそ羽目を外したっていい、同性の恋愛なんていつまでも続かないと思っていた。
この視点が活きてくるんですよね。
永遠には続かないという考えは冷めているともとれますが、思春期あたりの移ろいやすい感情を現していると思います。
逆に美山の真っ直ぐさというのはこちらに刺さってしまうほどの強さがあります。
この強さで来られたら当時の仁科は怖かったと思います。
しっかりと初恋というテーマを最後までひっぱり、回収していく話の上手さも良いです。
また、当て馬かと思われた美山と仲良くする安東も良い人なのでスッキリした気分で読む事が出来ます。
日高先生の絵は、派手さはあまり感じられませんが、綺麗で、上手いです。
どこまでも丁寧に描かれる絵が、話の上手さと合って良いんですよ。
実はこの『初恋のあとさき』は3部作の最終話となっています。
3部作とありますが、各キャラクターがチラリと出てくるというくらいなので1作品でも十分楽しめる作品です。
もちろん、全作通して読むとあのキャラがこう動くのか…という楽しみもありますので、お勧めです。
同時収録の『double line』は3部作の2作目『嵐のあと』の続編になっていますが、こちらも良い作品です。
初恋にはいろんな思い出が有ると思いますが、その中でもずっと忘れられない痛みに重点を置いた作品です。
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