あげくの果てのカノン全巻読んでみた感想とネタバレを書いてみました!

あげくの果てのカノンネタバレ

こちらの作品は好き嫌いのハッキリ別れる、ある意味問題作だと思います。

ですが、誰かを引くほど好きになったことがある人は一部分でも主人公に共感できる所があるのではずです。

タイトルと主人公のネーミングが秀逸なこの作品、筆者が端的に言い表すとすればズバリ「SF不倫」です。…どういうこと?ってなりませんか。

なんと、SFとしても十分に読み応えのある不倫モノの作品です。

全5巻に渡って謎の生物と戦いつつ、しっかり泥沼の愛憎劇が繰り広げられます。

わけがわかりませんね。

舞台は謎の地球外生命体に侵略され、雨の止まない街になった東京の永田町。

地球外生命体に対抗すべく設立された組織に、主人公高月かのんが思いを寄せる高校時代の先輩・境宗介が戦闘員として所属しています。

この謎の生物との戦闘は身体が欠損するほどの大怪我を負う激しいものなのですが、組織には「修繕」という技術があり、それによって負傷した戦闘員たちはある程度の傷ならば命を落とすことなく何度でも戦えるわけです。

しかしここに鍵があります。「修繕」には一つデメリットがあるのです。それは、処置を受けた者の心が変化するということ。

趣味嗜好、その他ちょっとした事から違和感を覚える大きなものまで、「修繕」を受けるたびにかつてのその人とはボタンを掛け違えるように少しずつ何かが変わっていきます。

かのんは高校時代に振られてから8年経ってもなお、奥さんがいると知っていてなお、境宗介を熱狂的に追いかけます。

高校時代から集めたグッズを手放せず、大量に盗撮し、インタビューの雑誌を切り抜きし、声を録音し繰り返し聴いては悶えるほどに。…本当に病的です。

8年ぶりに再会し、かのんのバイト先であるケーキ屋に通うようになった宗介。

そこでかのんは「修繕」によって短期間の間にどんどん変わっていく宗介を目撃することになるのですが、相変わらず好きな気持ちは変わりません。そうして不倫関係が始まります。

あげくの果てのカノンを読んだ感想

先輩を好きでいる自分から変わりたくないと繰り返し、後戻りができなくなっていくかのん。

しかし実は宗介だって、本人からすれば自分は自分でしかなく、何も変わっていないのです。

「修繕」という装置が見事に活きている本作ですが、そんなものは存在しない世界に生きる私たちだって日々変化しているはずで、周囲から変わってしまうことを嘆かれたり、変わらないことに失望されたりする彼らと自分はどう違うんだろうと考えさせられます。

クライマックスでの境夫婦の共闘が本当に格好良い!愛を誓い合ったはずの二人の人間らしい応酬が見られます。

平和になった世界で再び偶然宗介と再会し、結局繰り返す、救いようのないかのんのラストがいつまでも後に残る作品です。

ここで無料試し読みできたから読んでみてね♪

無料試し読みはこちら

「あげくの果てのカノン」と検索してね!