『泥中の蓮』ためこう先生のネタバレと感想を紹介したいと思います!
泥中の蓮あらすじ(ネタバレ注意)
優等生の秋生には兄がいる。
兄の元春は、男に身体を売ってお金を得る、いわゆるアバズレなのだが、秋生はそんな兄のことが好きだった。
身体を売って生計を立てていた元春だったが、ふとしたことをきっかけに真っ当な道を進もうとする。
そんな兄を応援しなければいけないと思いつつも、兄を抱きたい、汚したいという凶暴な欲が秋生の頭を占めていく。
そして二人の思いはすれ違い、歯車が狂い始める。
「別に兄ちゃんが堕ちるのを待ってなくていいんだ。自分から引きずり込めばいいんだ」
そうして秋生はついに兄を襲ってしまう。
それがきっかけとなって、元春は突然秋生の前から姿を消す。
それからあっという間に数年が経ち、元春は元のようなただれた生活を送っていた。
そんな中、体調を崩して倒れて病院に運ばれたところで、社会人となった秋生と再会を果たす。
秋生のすっかり成長した姿に安心した元春は再び秋生の元を去ろうとするが、その腕を秋生が掴む。
「もう兄ちゃんを誰にも触らせたくない。オレだけの兄ちゃんにしたい。オレのものになって」
涙を零しながらそう告げる秋生に、元春は優しく触れて告げます。
「しょうがねぇな。後悔しないならいいよ」
そして二人は一緒に生きていくことを決めたのでした。
「蓮の花は汚い泥の中で花を咲かせる」
果たして、泥の中にいるのは誰か、蓮の花は誰を示しているのか。
秋生か、それとも元春か。ぜひ最後まで読んでください。
泥中の蓮を読んだ感想
『ララの結婚』『カッコウの夢』などで知られる、ためこう先生の作品。
本作のおすすめポイントは、秋生の凄まじいまでの兄への執着心です。
序盤で、兄が客とのセックス中に気を失ってしまうシーンがあるのですが、その時、秋生は兄に口付け、優しく愛撫を施します。
いわゆる3Pなのですが、このシーンでまず痺れました。
兄への異常なまでの執着が表現されていてとても好きです。
兄に対しては理想的な良い弟であろうとしながらも、自分がどす黒い感情を抱いているのを自覚している秋生。
アバズレの兄であって欲しい、自分と同じところまで堕ちてほしいという欲望。
その一方で元春は秋生に恥じない兄でいようとしていて、なかなか堕ちてきてくれない、絶望。
そんな秋生の生々しくて醜い、けれど人間らしい感情が描かれていて見応えがあります。
そして最後のどんでん返し。
最初から読み直したくなるような仕掛けが施されています。
どこからが、この物語の操り手の思惑によるものなのか。
少し苦さの残るような、けれど決してバッドエンドではないエンディングに注目してください。
兄弟の暗いBL、執着などのシチュエーションが好きな方にはおすすめの作品です。
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