昭和元禄落語心中9.10巻のネタバレ感想を書かせていただきました!

ついに最終巻です。

昭和元禄落語心中9〜完結10巻あらすじ(ネタバレ注意)

師匠の帰りを待つ人は小夏や与太郎ばかりではありません。

師匠の落語に惚れこんでいた、かつて与太郎が籍を置いたヤクザの親分も、彼を待つひとりでした。

親分の計らいで、八雲師匠を待つ昔からの縁のある親しい人たちだけのお座敷が設けられ、師匠は久しぶりに一席かけることになったのです。

だまし討ちのようにお座敷に連れてこられた師匠でしたが、顔ぶれを見ると観念したようです。

まずは前座で与太郎が助六師匠の型で、あの「芝浜」をかけます。

そして次はいよいよ師匠、というところで警察が立ち入り、親分は連行されてしまいました。

そのまま親分には実刑が下ってしまいます。

与太郎と師匠は親分が収容されている刑務所への慰問に訪れ、そこで落語をします。

戻った師匠は雪の夜に人払いをした寄席で、「死神」をかけます。すると助六が現れ、言葉まで交わすことが出来ました。

助六は死神の姿になり、あたりはろうそくの灯が広がり一面火の海に。師匠は与太郎に助けられましたが顔に火傷を負ってしまいました。

春、桜の頃に与太郎と小夏は子供を授かり穏やかな時間が流れています。

与太郎がもらってきた桜で花見をする師匠も、穏やかな表情です。春の暖かさの中で、小夏はようやく師匠に甘えることが出来、「弟子にして」と長年言えなかった一言も言うことが出来ました。

師匠の答えはもちろん、「ハイ。」

そしてそのまま、師匠は帰らぬ人になってしまいました。

三途の川の手前で助六、みよ吉と再会し、わだかまりを一つ一つなくしていく。

そうして師匠は川を渡っていくのでした。

それから十七年。

成長した信之助は落語家の道を歩み二つ目になっていました。

父の与太郎は助六から八雲へと名前を受け継いでいきます。

小夏は初の女性落語家に。あの桜の頃に小夏のお腹にいた子は、小雪というかわいらしいお嬢さんに。

それぞれがそれぞれの道を歩み、大切だから「言えないこと」を抱えて生きていきます。

そう、小夏にも「言えないこと」がひとつ。

それも抱えて生きていく道中の、陽ぉ気なこと!

昭和元禄落語心中9〜完結10巻を読んだ感想

八雲師匠の生涯をまるっと読んで、最期の穏やかなひと時があまりにもあたたかく、あまりにも幸せな色が鮮やかで、あまりにも「終わり」でしかなく苦しい。

本当の最期を書かずに、助六さんとあの世への路で再会することで師匠の死を描いたことが、直前のあたたかな縁側でのシーンの余韻を残していていいなと思いました。

ちゃんと「師匠は幸せだったんだな」と思うことが出来るから。

三途の川を渡るまでの演出がどれも素晴らしく、「了見一つで好きな齢の姿になれる」。

助六さんと出会った子どもの頃の姿から、ともに切磋琢磨した青年の姿になり、みよ吉とも再会。わだかまりを溶かすように精算していくのが、「ああもう本当に終わってしまうんだな」と感じて切なくなります。

そしてあの世の寄席では、自ら与太郎たちと過ごした晩年の“八雲”の姿になります。

自分の落語も与太郎や小夏とのことも後悔がなかったんでしょう。

その後の一門のみんなも元気そうでよかった。成長した信ちゃんの姿がイケメン過ぎて、最後の最後にとても目の保養に。

ちょっとシスコンっぽいのも可愛いですね。個人的には小夏の貫禄の増した姿が、かっこよすぎて、弟子入りしたいくらいです。

落語心中は全十巻、あっという間でした。読む手が止まらなかった。

本当に朝ドラのような世界観で八雲師匠は朝ドラでいうメインヒロインです。その生涯のなんと儚くて力強いこと。

落語を知らなくても楽しめますので、ぜひご一読いただきたい作品です。

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